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業務を効率化するために、AIをどう使う?
MEDIUM VISION

MEDIUM定例座談会 2025年7月23日
このブログ記事は私達MEDIUMが週一回開催する定例会議の内容を再構成して掲載するものです。最新のAIニュースやWeb制作、デザインに関する情報をお届けします。
※各AIサービスの性能比較や優劣に関する評価は発言者の主観が含まれます。また、サービス価格や機能については変動する可能性があるため、最新の正確な情報についてはベンダーの公式ホームページをご確認ください。
参加スタッフの紹介
吉田:Webディレクター、デザイナー
川村:Webデザイナー
西川:Webデザイナー
戸髙:Webデザイナー
本田:進行役
●AIが変える業務フロー、注目の最新効率化ツール
◯文字起こしからブログ記事を自動生成する新技術
◯会議の議事録を自動化する「tl;dv」の可能性
◯コーディング支援「Amazon Kiro」とは?
●AIツール導入の壁、実践から見えた課題と未来
◯DifyとWordPress連携、音声ファイルの容量問題
◯WordPressのMCPが拓くコンテンツ作成の自動化
◯開発と学習コスト、ツール選定の現実的な視点
●座談会を終えて
AIが変える業務フロー、注目の最新効率化ツール
-文字起こしからブログ記事を自動生成する-
〈本田〉
皆さん、こんにちは。今日のテーマは「AIによる業務効率化」です。最近、YouTube動画のトランスクリプト(文字起こし)からブログ記事を自動生成する技術が話題になっていますが、実際に試してみてどうでしたか?
〈吉田〉
はい、試してみました。会議の議題の文字起こしデータをClaudeに渡して、あらかじめ用意しておいたプロンプトで指示を出すだけで、かなり精度の高いブログ記事が生成できました。さらに、それをマイクロCMSに自動で投稿するところまで連携させています。記事のタイトルや本文、見出しなどを構造化して出力させて、それをCMSに流し込む流れですね。
〈西川〉
すごいですね!それなら、コンテンツ作成の手間が大幅に削減できそうです。
〈吉田〉
そうなんです。ただ、プロンプトの作り込みは重要ですね。例えば「何文字程度にまとめてください」とか「見出しを付けてください」といった指示を細かく与えることで、出力の質が格段に上がります。このプロンプトをテンプレート化しておけば、誰でも同じ品質の記事を生成できるようになります。
〈戸髙〉
なるほど。音声データから直接テキストを生成するだけでなく、その後の編集・整形までAIに任せられるわけですね。
-会議の議事録を自動化する「tl;dv」の可能性-
〈本田〉
会議といえば、議事録の作成も大きな手間ですが、何か便利なツールはありますか?
〈川村〉
「tl;dv」というツールが非常に便利です。ZoomやGoogle Meetでの会議にボットを参加させるだけで、自動で録画と文字起こし、さらには要約までしてくれます。タイムスタンプ機能もあって、特定の箇所の会話をすぐに見返すことができるのがいいですね。
〈西川〉
それはいいですね。プラットフォームを問わず使えるのも魅力的です。うちはZoomを使っているけど、クライアントはMeetを使っている、みたいな状況でも対応できるわけですね。
〈吉田〉
しかも、tl;dvは単なる文字起こしツールに留まらないんです。AIアシスタント機能があって、例えば「今日の会議の決定事項は何ですか?」と質問すると、関連する部分を議事録から抜き出して回答してくれます。これは、会議に参加できなかった人が内容をキャッチアップするのにすごく役立ちます。
〈戸髙〉
すごい!議事録を全部読まなくても、要点だけをすぐに把握できるんですね。それは時間短縮になります。
〈川村〉
そうなんです。誰が何を話したかという発言者の特定もできますし、会議のポイントをまとめたレポートも自動で生成してくれます。もう手作業で議事録を作る時代は終わりかもしれませんね(笑)。
-コーディング支援「Amazon Kiro」とは?-
〈本田〉
コンテンツ作成だけでなく、開発作業の効率化も重要なテーマです。最近、Amazonが「Kiro(キーロ)」という新しい要件定義から設計、実装、テストまでを包括的に支援する「AI統合開発環境」を発表したそうですが、これはどういうものなのでしょうか?
〈吉田〉
Kiroは、AIを活用した新しいタイプのエディタですね。最大の特徴は、コードだけでなく、関連する仕様書やドキュメントを同時に読み込んでくれる点です。例えば、コードの一部を修正した場合、AIが自動で仕様書の内容も判断して、関連する他のコード部分やドキュメントまで修正提案をしてくれるんです。
〈西川〉
それは画期的ですね。よくあるのが、仕様変更でコードは直したけど、ドキュメントの修正を忘れていて、後から混乱する…というケースなので。
〈戸髙〉
確かに。コードとドキュメントの整合性を保つのは大変ですからね。それが自動化されるなら、ヒューマンエラーも減らせそうです。
〈川村〉
VS CodeのCopilotとはまた違うアプローチなんですね。
〈吉田〉
そうですね。Copilotはあくまでコード補完がメインですが、Kiroはプロジェクト全体の整合性を保つことに主眼を置いているようです。まだリリースされたばかりですが、今後の開発現場でスタンダードになる可能性を秘めていると思います。
AIツール導入の壁、実践から見えた課題と未来
-DifyとWordPress連携、音声ファイルの容量問題-
〈本田〉
さて、ここまで便利なツールの話をしてきましたが、実際に導入するとなると色々な壁にぶつかりますよね。以前、戸髙さんが試していたDifyとWordPressの連携では、どんな課題がありましたか?
〈戸髙〉
一番の課題は、音声ファイルの容量問題でした。iPhoneで録音した音声ファイル(M4A形式)をDifyにアップロードしようとしたのですが、容量が大きすぎて制限に引っかかってしまったんです。
〈西川〉
音質を下げて圧縮したり、ファイルを分割したりはできないんですか?
〈戸髙〉
はい、試してみました。ただ、MP3形式に変換すると逆にファイルサイズが大きくなってしまったり、ファイルを分割すると、今度はブログ記事としての一貫性が失われてしまうというジレンマがありました。結局、Difyのプロセスの中で、一つのファイルとして処理しないとうまくいかないんです。
〈吉田〉
それはDifyに限らず、多くのAIサービスが抱える共通の課題ですね。特に大容量のファイルを扱う場合、クラウド版のサービスではどうしても制限が厳しくなります。解決策としては、AWSの音声認識サービス「Transcribe」などを経由して、テキスト化してからDifyに渡すという方法も考えられますが、そうするとワークフローが複雑になってしまいます。
〈川村〉
Difyをセルフホストで構築すれば、そのあたりの制限は緩和できるのでしょうか?
〈吉田〉
理論上は可能です。サーバーのスペック次第で上限を上げることはできますが、今度はサーバーの構築・維持コストや、Dockerなどの知識が必要になるので、また別のハードルが出てきますね。
-WordPressのMCPが拓くコンテンツ作成の自動化-
〈本田〉
音声ファイルの容量問題は大きな壁ですが、これが解決すれば、WordPressでのコンテンツ作成プロセスは劇的に変わりそうですね。
〈吉田〉
その通りです。特に注目しているのが、WordPressが開発しているMCP(Model Context Protocol)というツールです。これは、WordPress内で様々な自動化フローを組めるようにするもので、これがDifyや他のAIツールと連携できるようになれば、まさに先ほど話した「音声データから直接WordPressにブログ記事を自動投稿する」という一連の流れが、よりスムーズに実現可能になります。
〈西川〉
それはすごいですね。そうなれば、会議が終わった数分後には、もうブログ記事のドラフトが完成している、なんてことも可能になるわけですか。
〈戸髙〉
ただ、その場合でも最終的な品質管理は人間の役割として残りますよね。AIが生成した文章のファクトチェックや、読者にとって分かりやすい表現への修正は必要だと思います。
〈川村〉
そうですね。WordPress自体もJetpack AIなどの機能を強化していますし、将来的にはWordPress内で全てのプロセスが完結するような、より統合されたソリューションが登場するかもしれません。そうなると、外部ツールとの連携の手間もなくなりますね。
-開発と学習コスト、ツール選定の現実的な視点-
〈本田〉
新しいツールを導入するには、当然、学習コストも考慮しなければなりません。皆さんはこの点についてどう考えていますか?
〈西川〉
先ほどのDifyのセルフホスト版の話もそうですが、便利なツールほど、使いこなすための技術的なハードルが高いことが多いですよね。DockerやYAMLファイルの編集など、専門的な知識が求められる場面は少なくありません。
〈吉田〉
まさに、金銭的なコストと時間的な学習コストのトレードオフですね。月額料金を払って手軽に使えるクラウドサービスを選ぶか、初期投資と学習の手間をかけてでも、より自由にカスタマイズできるセルフホストを選ぶか。これはプロジェクトの規模や目的によって判断が変わってくるところです。
〈川村〉
AIツールは進化のスピードが本当に速いので、一つのツールに固執するのではなく、常に新しい情報をキャッチアップして、その時々で最適なツールを柔軟に乗り換えていく姿勢も大切だと思います。
〈戸髙〉
本当にそうですね。ただ、その情報収集だけでもかなりの時間と労力がかかります(笑)。どのツールが自分たちの業務に本当にフィットするのかを見極める目も必要になってきますね。
座談会を終えて
〈本田〉
本日の座談会はこれにて終了です。AIツールを活用した業務効率化の大きな可能性と、同時に存在する技術的・コスト的な課題について、非常に有意義な議論ができました。
tl;dvによる議事録の自動化や、Amazon Kiroによるコーディング支援、そしてDifyとWordPressを連携させたコンテンツ生成の自動化など、未来のワークフローを具体的にイメージできたのではないでしょうか。
一方で、音声ファイルの容量問題や、新しいツールを導入する際の学習コストなど、現実的な課題も見えてきました。単純な作業はAIに任せ、私たち人間はより創造的で、本質的な業務に集中する。そんな未来を実現するためにも、今後も継続的に最新情報をキャッチアップし、実践を通じて最適な活用法を模索していくことが重要ですね。本日はありがとうございました。