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【Sora】動画生成AI解説 #2

DIVE in AI
サムネイル画像

はじめに

トップページのメインビジュアルに採用している動画は、動画生成AIを活用したものです。
2025年5月から6月にかけて、最先端のツールを用いて試行錯誤しながら11の動画を生成しました。
生成の過程を中心に、動画生成AIの特徴やコツ、実際のプロンプト(AIに生成してほしい内容を伝えるための指示文)をみなさまに共有します。
第2回の記事では、モバイル版のメインビジュアルで流れる、開花するバラをモチーフとした動画をテーマにご紹介いたします。

※本記事で紹介するSoraは、執筆時点(2025年6月)では一部のクリエイターに限定して提供されています。本記事は、将来の一般公開に向けた先行情報として、その機能やプロンプトのコツを解説するものです。

Soraとは?

Soraの導入については前回の記事で解説しております。
【Sora】動画生成AI解説 #1
今回解説する内容にも関わりますので、ぜひそちらを先に読んでいただくことをオススメいたします。

SoraのStoryboard機能

Soraの動画生成設定画面。プロンプト入力欄の右下にSroryboard画面へのボタンが表示されている。
SoraにはStoryboardという機能があります。
これは、シーンごとに動画の流れを設計できる強力なツールです。
前回解説したプロンプトのみの動画生成よりも、さらに意図通りの動画を生成できる可能性が高まります。
画像右下にある「Storyboard」ボタンをクリックすると、Storyboard画面へ遷移します。

Storyboard機能の設定項目

SoraのStoryboard機能画面。プロンプト入力欄と各種設定項目が表示されている。

Storyboard機能を用いて動画を生成するときのUIについて、開花するバラの動画を生成したときの設定をもとに説明します。

─ 各秒数にボードを設定 ─
動画のどの時点でシーンを設定するのかを決めます。設定するボードは多すぎず少なすぎず、10秒の動画であれば3~5つ程度が良いと考えます。
画面下部のタイムライン上をクリックすると、その時点にボードが設定されます。ボードはドラッグ操作で動かすことができます。ボードがどの秒数に設定されているかは、画面中央のボード左下の数字でも確認することができます。
─ プロンプト入力欄 ─

シーンを設定したい秒数に対してプロンプトを設定します。

─ プロンプト最適化 ─
「プロンプト入力欄」に入力した内容を最適化するためのボタンです。日本語を適切な英語にしたり、短い/長いプロンプトを適切な長さにしたり、とても便利です。
しかし、途中で処理が止まってしまう場合があるので、日本語でプロンプトを考えたら別のツールで英訳するのもオススメです。
─ 生成開始 ─
このボタンの左側に並んでいる項目は、前回の記事で解説しています。プロンプトの入力も含め設定ができたら、このボタンを押して生成を開始します。
Storyboard機能は設定するシーンが増えるため、処理に時間がかかります。生成開始前にプロンプトや設定を再度確認するようにしましょう。

ご紹介する動画の基本情報

Soraで生成した開花するバラの動画の一場面
- モチーフ:開花するバラ
- 生成AI:Sora
- プロンプト全文

0秒

A single Velvet Lip rosebud rests perfectly centered against a pale, tranquil blue. Soft daylight brushes its tightly furled, velvet-dark petals; Athe air is hushed and still.

2秒

The outermost petals breathe open with a subtle sigh, a first sliver of deep crimson appearing where daylight catches the velvet edge.

4秒

Slowly, gracefully, the first layer unfurls, revealing richer folds beneath that glow faintly as they meet the light.

6秒

Petal after petal loosens in deliberate rhythm—crimson upon crimson—each edge shimmering, the bloom expanding like a measured heartbeat.

8秒

At full blossom the rose radiates serene majesty, its velvety heart open and still beneath the changeless sky-blue backdrop.

プロンプト解説

先に全文を紹介した開花するバラのプロンプトについて、日本語訳を交えながらポイントを解説します。
この動画において重要だったのは、感情的・詩的な表現、光と質感へのこだわり、計算された構成だと考えていますので、そこに注目していただければと思います。
─ 構図と演出 ─
A single Velvet Lip rosebud rests perfectly centered

一本のバラの蕾が完璧に中央に配置されている

changeless sky-blue backdrop

変わらない空色の背景

冒頭で鑑賞者の視線を主役に集中させ、安定した構図から物語を開始する意図があります。
加えて背景を不変にすることで、主役であるバラの変化を際立たせる対比の効果を狙っています。
─ 動きとペース配分 ─
breathe open with a subtle sigh

かすかな溜息のようにはらりと開く

The first layer unfurls

最初の層が広がる

Petal after petal loosens

花びらが一枚また一枚とほどけていく

in deliberate rhythm

意図的なリズムで

like a measured heartbeat

計測された心臓の鼓動のように

「開く(open)」という単純な動詞ではなく、生命感や感情的なニュアンスを持つ「呼吸する」「溜息をつく」といった詩的な表現で、非常に繊細で自然な動きを求めています。
一気に開花させるのではなく、層ごと、一枚ごとという段階的な指示により、リアルな開花のプロセスを再現しようとしています。その動きのペースが単調ではなく、生命的な「鼓動」のような、一定のリズムを持っていることを強調しています。
これにより、映像に緊張感と心地よいテンポが生まれます。
─ 光と色彩 ─
Soft daylight

柔らかい昼の光

a first sliver of deep crimson appearing where daylight catches the velvet edge

昼の光が縁を捉えるところに、深い真紅の最初のきらめきが現れる

glow faintly as they meet the light

光を受けて微かに輝く

each edge shimmering

それぞれの縁が揺らめくように輝く

光の種類(硬いか、柔らかいか)を指定することで、映像全体の雰囲気を決定しています。柔らかい光は、穏やかで優しい印象を与えます。
光が当たることで初めて見える色を指示し、開花という変化を「光と色の相互作用」としてドラマチックに描いています。
単に色が明るくなるのではなく、「内側から発光する」「縁がキラキラと揺らめく」といった、より高度で美しい光の表現を求めています。
─ 質感と雰囲気 ─
velvet-dark petals

ベルベットのような暗い色の花びら

its velvety heart

そのベルベットのような中心部

tranquil blue

静かな青

hushed and still

静まり返り、動きがない

radiates serene majesty

静かな威厳を放つ

これから始まる出来事を予感させる静寂で神秘的なムードを最初に設定します。
「ベルベット」という言葉を繰り返し使い、バラの花びらが持つ特有の、光を吸収しつつも微かな光沢を放つ質感をAIに理解させようとしています。
満開になったバラが持つべき最終的な印象を「威厳」という感情的な言葉で定義し、映像のクライマックスにふさわしい格調高い雰囲気で締めくくっています。

クリエイティブを引き出す3つのコツ

SoraのStoryboard機能は、単にシーンをつなぎ合わせるツールではありません。それは、AIに「物語」を語らせるための脚本であり、映像の展開をコントロールするための監督席です。
単一プロンプトでの生成が「奇跡のワンカットを待つ」写真家だとすれば、Storyboardは「シーンの連なりで感情を演出する」映画監督と言えるでしょう。
この強力な機能を使いこなし、意図した通りの映像作品を生成するための3つの実践的なコツをご紹介します。
Storyboard機能は確かに奥が深いですが、それ以上に創造性を増幅させてくれる可能性を秘めています。まずは短い動画から挑戦してみてください!
1. キーワードを統一する

今回のバラの動画で「velvet(ベルベット)」「daylight(昼の光)」という言葉を繰り返し使ったように、各シーンのプロンプトで一貫したキーワードや世界観を維持することが重要です。これにより、AIはシーン間のつながりを深く理解し、映像全体に統一感と滑らかな変化を生み出します。まるで一本の詩を詠むように、通底するテーマをAIに伝えましょう。

2. 「始点」と「終点」から固める

いきなり全てのシーンを細かく設定するのは大変です。まずは、今回の作例のように「0秒の蕾の状態(始点)」と「8秒の満開の状態(終点)」という、物語の始まりと終わりのプロンプトを確定させましょう。この2つのアンカー(錨)を打つことで、AIは全体の変化の方向性を把握します。その後、中間地点のプロンプトを少しずつ追加・調整していくことで、迷うことなく、より効率的に理想の展開に近づけることができます。

3. AIの「解釈」をパートナーにする

Storyboardを使っても、時には予想外の動きや表現が生まれることがあります。しかし、それを「失敗」と捉えるのではなく、「AIからのクリエイティブ提案」と捉えてみましょう。例えば、意図しないタイミングで光が差し込んだなら、その光を生かすように次のシーンのプロンプトを調整してみる。このようにAIの解釈と対話し、共同作業のように制作を進めることで、一人では思いもよらなかった芸術的な映像が生まれる可能性があります。

おわりに

今回はSoraのStoryboard機能と、開花するバラの動画を生成したプロンプトをご紹介いたしました。
Sora以外の動画生成AIについても、別の記事で詳しく共有させていただく予定です。

弊社では動画生成以外にも、さまざまなAI活用に取り組んでおります。お気軽にご質問、ご相談くださいませ。